VISA 2020-2021

ポスドクとして北京大への渡航を予定していた2020年秋までの記録、そして予定から大幅に遅れて中国に入国できるまでの記録である。 韓国滞在時に北京大学からのオファーを受けた直後、COVID-19の世界的パンデミックにより中国では外国人受け入れが制限され、中国への渡航は出来なくなった。 そのため、韓国でのビザ申請のための準備を行うも、韓国から直接中国への渡航できず、一時的に日本への帰国。 再度日本にてビザ申請のための準備をし、ビザの発行に至る。 今回は、非常に長い期間かかったZビザの申請ではあるが、通常であればこれよりもぐんと短い期間でビザを手に入れることができるだろう。 本記録を公開する理由の一つに、韓国からの中国ビザ申請に関する手助けになればという思いもある。


工作許可申請に必要な書類

まずは、Z ビザの申請に必要な工作許可証の申請を行うのに必要な書類を挙げる。
  • 学位証明書(3か月以内に発行された証明書とその中国語訳)
  • 勤労証明書(とその中国語訳)
  • 犯罪記録証明書(とその中国語訳)
  • 指定検査機関にて行う「身体測定結果報告書」
  • 証明写真とパスポートの写し

在韓時の手続き

在韓時には、和文の証明書の中国語訳は日本の代理人申請を通じて行った。 中国語訳した文書に関しても、公文書としての認定が必要なため、その文書の作成申請に行政書士による手続きが必要になる。 学位証明書(和文)の翻訳並びに公印認証申請(アポスティーユ申請代行センターを通じた)代理人申請に必要な書類は以下の通りである。

  • 学位証明書(3か月以内に発行された和文の証明書)
  • 行政書士への依頼を行った旨の宣言書(中国語:捺印 or 署名)
  • 公証人役場向け委任状
  • 印鑑証明書(3か月以内に発行されたもの)
  • 中国大使館向け委任状
  • 本人のパスポートの写真のページの見開きのコピー

印鑑証明・印鑑登録・サイン証明について
2020/05/28: 委任状への実印を押印する際に、印鑑証明の添付が必要になる。 日本大使館にて登録、即日発行ができるが、発行されて6ヶ月以内の「日本の住民票の除票」が必要になる。 代わりに、委任状に押印・署名した書類の証明書類(サイン証明)を発行することになる。 大使館において、大使館職員の目の前で書類の必要箇所に署名をし、サイン証明を発行する。 原本書類とその書類に書かれている署名のサイン証明をホチキスどめをしてもらう(ホチキスどめが外れると無効になるので注意)。

日本語書類の中国語翻訳
2020/06/10: 学位証明書以外の日本語書類をFedExで郵送(₩38,590)。 翌日、日本に書類が届き、学位証明書と合わせて親族に代理人申請(アポスティーユ申請代行センター)先に郵送してもらう。
2020/06/13: アポスティーユ申請代行センターに書類 着。 特急申請扱いで中国語訳とともに書類が受理され、翌週 6/25にDHLで返送された。 費用は、郵送代込みで68,900円だった。

証明写真の撮影
日本とは違いどこかしこに証明写真機があるわけではないので、近所の写真館で撮影。 費用は、撮影と印刷した証明写真複数、証明写真のデータで₩20,000だった。 手直しで写真を修正しているところを見ていたが、顔の黒ずみや顔の輪郭も修正されていた1

中国ビザ用健康診断書(外国人体格検査)の発行
Korean Industrial Health Association (https://kiha21.or.kr/)で検査(6月9日)。 身体計測、X線検査、心電図検査、血液検査のような基本的な検査のみ。 検査にはパスポートと顔写真を3枚要求される。 診断書(二部)を発行され、費用は₩170,000。 検査結果の受け取りまで4日程度(6月12日に受け取り)。 診断書は中国語で書かれるため、検査結果の中文訳は不要だった。

犯罪経歴証明書の発行
最寄りの警察署において発行依頼(6月9日)。 証明書発行まで一週間程度かかるかもしれないとのことだったが、2日後に発行できたとの連絡があった。 パスポート、外国人登録証と顔写真1枚が申請の際には必要だった。 費用は無料。

韓国語書類の中国語翻訳 公印認証申請
韓国語書類の中国語翻訳 公印認証申請を行う書類に関して。 行政書士宛にメールを送るも英語が通じない。 しょうがないのでGoogle翻訳を信じて、韓国語でのやり取りを行った。 スキャンした書類を郵送で送ると、中国語訳と公印認証を行ってくれる。 経費は一枚 ₩180,000程度で、日本の半額程度だった。

最初期段階の書類は6月25日に北京大に送信したが、工作許可証の発行プロセス自体は年明けまで一向に進まなかった。

日本に帰国後

COVID-19の影響もあり、2021年1月末頃まで大学側で工作許可証の申請に許可が降りなかった。 その間、新規書類として北京大学から要求された書類は以下の通り。

  • 指導教官とその他一名の研究者からレファレンスレター(二通・独自フォーマット)
  • 前職の退職証明 (自分の場合は一年の契約延長を行っていたため、前職の契約書類と任期延長に関する書類)

中国ビザ用健康診断書(外国人体格検査)の再発行
半年間の有効期限が切れたため、再度外国人体格検査を受けに行くことに(2021/2/9)。 日本国内では日中友好医院(http://jcf-clinic.com/)へ訪問2。 検査にはパスポートと顔写真を2枚要求される。 診断書(二部)を発行され、費用は39,900円。 検査結果の受け取りまで7日程度(2/16受け取り)を要する。 今回も、診断書は中国語で書かれるため検査結果の中文訳は不要であった。 当日中に改めてメールにて北京大学に書類を再送。

2021/03/31: 外国人工作許可証がメールで届く。 工作許可証が出たものの、コロナ禍において新たに招聘状(邀请函 PU)が必要とのことで、大学側で申請をしてくれていた(4月1日)。
4月7日 ワクチン接種の有無 (無い場合に中国内で受けるかどうか)の確認があった。

2021/04/29: 招聘状(邀请函 PU)が届いた。 申請から発行までにおよそ4週間程度はかかるようである。

2021/05/07: 代理店 日本橋夢屋にビザ申請のサポートを依頼(代金¥13,200)し、中国ビザ申請センター(東京都有明)での申請のオンライン予約を行った。

2021/05/11: 申請当日 代理店に準備してもらった書類のため、特に問題なく手続きが進む。写真と指紋採取を含め、およそ20分程度で手続きを終えた。結果は、一週間後に取りに来るように言われた。 申請に必要な書類は以下の通りである。 今回の場合には、様々な誓約書も同時に提出しているが、この提出書類は人に依るので注意が必要である。

  • パスポート原本(生涯で初めて取得したパスポートの場合に理由書の提出、2015年1月1日以降に発行されたパスポートの場合には旧パスポートが必要などの多種の条件があるので注意が必要)
  • Visa Appointment Confirmation Form(オンラインでの申請予約証明)
  • オンライン申請書(代理店によって作成してもらったものを利用)
  • 招聘状(邀请函 PU)のコピー
  • 外国人工作許可通知のコピー
  • パスポートのコピー
  • 渡航経歴書
  • 生涯で初めて取得したパスポートの場合の理由書の原本
  • 招聘状(邀请函 PU)の訪中目的が不明確な場合の誓約書の原本

2021/05/18: 無事、ビザを取得(代金 ¥8,500)

以上、最初に工作許可書類を集め始めてからビザの取得までにおよそ一年近くかかった。 書類準備のためにかかった費用は、韓国国内でおよそ11万円、日本国内で6万円程度であり、合計で17万円程度である。 日韓共にそれぞれの書類を中文訳していること、二度の健康診断書の発行により、料金がかさんでいる。

(ビザ後記)中国への入国に向けて、そして入国後

ワクチンの接種: 渡航する前に日本国内で、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病に関するワクチンを接種した。
肝炎のワクチンは、5/21, 6/18に接種を行うと2年程度有効なものだった。 5年間のブースターにするためには一年後の接種を含め3度の接種が必要であるとのこと。
狂犬病のワクチンは、5/21, 5/28, 6/18に接種を行うと2年程度有効なものだった。 5年間のブースターにするためには一年後の接種を含め4度の接種が必要であるとのこと。
各ワクチンごとに金額は異なるが、接種一回が1万円程度であった。

2021/07/08: 北京への直行便がないため、大連経由での渡航を計画。 他所への経由便は航空券が高かったが、大連への便は片道で133,000円で比較的安い便だった。 大連での隔離期間は、最終目的地によって異なるが、北京市への渡航の場合は三週間隔離ののち、北京市での健康モニタリング一週間が必要だった。 北京大学内のホテルは、健康モニタリングにかかる期間の滞在を禁止していたため、四週間の隔離を行うことになる。

2021/08/05: 四週間の隔離後、大連から北京への航空便での移動。 前日に大連内でCOVID-19の感染者が出たため、大連市が高リスク地域に指定され、航空便が続々キャンセルされる。 そのため、北京市内入境後、滞在できるホテルがなくなったため同僚宅にしばらく滞在。 従来であれば、ホテルの滞在証明書によって短期居留許可の申請をするようであるが、急遽大学側が用意してくれた書類によって申請(申請日は、ビザに記載されている30日を超えていたが、北京大の学生さんの手助けもあって、事情を把握してくれたためお咎め無しとなった)。


[1] この修正が何らかの申請において不利になることはありませんでした。
[2] 神奈川県内でも検査医院を探したが、2021年現在横浜市内で検査を行ってくれる病院はなかった(ネット上では横浜医療センターで受け付けているとの記述があったが、直接確認を行うと現在は行っていないとのこと)。 検査自体は、韓国で行ったものと同じような内容で、前日の夜10時以降の食事制限あり。